南アルプス市ふるさと文化伝承館

登録日:2011/12/04 16:23:20

鋳物師屋遺跡出土「円錐形土偶」(重文)

カテゴリ 文化  
収蔵品タイプ 縄文時代の出土資料

世界に誇る縄文文化の「顔」 鋳物師屋遺跡出土円錐形土偶(国指定重要文化財)

 

 縄文時代の鋳物師屋遺跡は、市之瀬台地の縁に近い扇状地にある縄文時代中期中葉のムラの跡で、直径130メートルの範囲に30軒程の竪穴建物跡が発見されました。

 円錐(えんすい)のような形のお腹の中は空洞で、高さは約25センチ。土偶(どぐう)の中では大きい類になります。縄文時代中期(今から約5000~4000年ほど前)になると、このような自立する立体的な土偶が増えます。

 土偶は通常砕けた破片として発見されます。これにはいろいろな説があり、鋳物師屋遺跡でもそのような土偶の破片も見つかっています。しかし、円錐形土偶は肩の部分が折れているだけで、ほとんど壊れていない状態で発掘されたことから、他の土偶とは違った意味がありそうです。

 この土偶は乳房が表現されていることからほかの土偶同様に女性の姿を現していることが分かります。大きく膨らんだお腹には左手が添えられ、右手は腰をおさえています。そう、妊婦さんがお腹の赤ちゃんのことを大事に大事にしている様子が描かれているのです。

 この時代の平均寿命は30歳代だといわれています。家族やムラが繁栄するためにも、元気な赤ちゃんと、お母さんの健康と無事を祈ったのでしょう。鋳物師屋縄文人の愛情が伝わってきます。
 

この土偶はこれまで数々の海外の展覧会で紹介されています。

その履歴を紹介しましょう。
 

平成4年 鋳物師屋遺跡の発掘調査により4500年の永い眠りから目覚める
平成7年 重要文化財に指定される
平成7年 イタリアローマ市立展示館へ
平成9年 マレーシア国立博物館へ
平成13年 イギリス大英博物館へ
平成14年 韓国国立中央博物館へ
平成18年 カナダ国立モントリオール博物館へ
平成21年 イギリス大英博物館へ

 

まさに 日本縄文文化を代表する土偶といえるのです。

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