企画展【革財布ー形の今昔ー 令和7年9月13日(土)~11月16日(日)】
財布は金銭や身の回りの小物を携行する袋物の一つです。巾着がその始まりといわれ、口を紐で括る簡易的な形から現代の利便性を追求した複雑な形の財布まで様々な品が使われています。 金銭を持ち運ぶ習慣は近世からと考えられ、江戸時代の懐中式の鼻紙袋が徐々に進化し、銭や楊枝を入れる口が三つに分かれた「三徳」や小銭の仕分けや出し入れが容易になった「早道」などが製作されました。当時の俳諧や評判記には財布という言葉も見られ、二つ折や三つ折の形状も作られるようになりました。 厚い鹿革で作られた甲州印傳の「三つ巻」の財布はその丈夫さから庶民に愛用されたと井戸文人著『日本嚢物史』に書かれています。また明治9年の廃刀令以降、体裁を保つ為に相応な地位のある男性は厚みのある財布を懐に入れて外出したそうです。明治時代に紙幣が発行されると財布の形状は大きく変わり、女性の社会進出も伴って次第に華美なものも登場しました。印傳屋の明治時代のちらし広告では各種財布が絵入りで掲載されており、財布の需要の高さと形状の豊富さを窺い知ることができます。 財布は日本の長い歴史の中で服装の変遷や風潮に合わせた多様な変化を遂げています。 今回の展示は鹿革で作られた金銭を入れて持ち運ぶ袋物を特集しています。印傳屋で販売した品を含め、技巧を凝らした今と昔の革財布をご覧ください。
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