縄文王国山梨

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登録日:2013/03/31 13:26:07

イベント報告2 縄文人の世界観─目でみる景観&心でみる景観─

カテゴリ 歴史   文化  

講演会

 

 北杜市考古資料館の講堂を会場に講演を聞きました。

 

 

 

 最初は、元井戸尻考古館長の小林公明氏から「先史の太陽と月と北斗」をテーマに講演をいただきました。

小林公明氏の講演内容の一部紹介

 皆さんこんにちは、小林です。先史の太陽と月と北斗という大層な題ですけれども、じゃあ今と先史ととても変わるかと言うとそう変わるものではありませんけれども。そんなふうな題でちょっとお話をさせて頂きます。お手元に資料があると思うんですが、その途中からちょっと絵を入れますけども、資料にそって見て頂ければと思います。30年くらい前から中期の土器の模様と言いますか、我々図像というふうな言い方をしてるんですけれども。そこには月を中心とした世界観と月の神話、そういうものが表明をされているという事に関心をもってやってくる中で、じゃあ実際の月はどうなっているのかという事で、月の観測を始めたんですね。25年間くらい断続してやっているんです。最近はかなり怠けていますけれど。その中で太陽についても観測をしてみました。

 我々はですねこんにち当然、天文学というのは地動説です。天動説では無いんですね。地動説というものが登場してから、コペルニクスとかですね、ガリレオですか。およそ400年くらい経つと思うんですけれども。我々は色々な教科書や学校でもって、あるいは天文関係の話でもって、そういうふうなものの見方をしている。けれどもですね、これは知識の上の事、観念上の事であって、実際に我々が実感として見る太陽とか月とか星は、天を動いているんですよ。これは天動説の立場ですね。よもや皆様の中で日々地球が自転をしているなんという事を実感として感じている人はまずいませんよね。これは宇宙飛行士ならいざ知らず。ですのでやはりこれは古代にのぼればのぼる程当然そうでして、石器時代だって当然そうです。ですので石器時代の人達と同じ想いとか感覚を共有しようとするならば、これはやはり実際に太陽の動きとか月の動き、あるいは星空を良く見る事。ただ見るにとどまらず、観測をしてみるという事をすれば古代の人達の感覚、石器時代の人達の感覚に近づいている事が出来るのでは無いかと、近寄る事が出来るのでは無いかと思うんですね。そんな結果を、ちょっと図が小さくて申し訳無いんですけれども、そこにまとめてありますので紹介をしてみたいと思います。

 自分が実際に観測に使う機材を紹介します。こういうものですね。これはクリノコンパスという物でして、ミラーが付いてまして、ここに水平器がありまして、ここに指標もあって、平板で使うアリダートと同じような仕様になっている。この磁石でもって東西南北の方位を見るわけです。このミラーに月や太陽を映してこれで方位を測ります。高さは何で測るかと言うとハンドレベルですね。こういうものですね。こう覗くと馬の尻尾の先がありまして。ここに水準器が付いてまして、ここでもって角度が、これで仰角を測るんです。けれどもですねこのハンドレベルは精々40度くらいまでの高度までしてか測れないんですね。それ以上は無理なんです。では40度以上の高さを測るには何を使うかと言うと、今度はこういう物が。これは、これもこれも地質屋さんが使う道具なんですけれども、これはクリノメーターとう道具ですね。こっちから覗くとこの十字の中心に月や太陽をとらえるんですね。ここがブラブラしていまして、このブラブラをここで止めるわけですね、十字に合わせて。これは3度くらいやって、大体同じ数値に近寄れば3度、あるいは5度6度やる事もありますけれども、そのへんでもって60度だとか78度だとかそういう高さを測る。こういうふうな道具を使ってやるわけです。これは売ってますんで、もしやってみたいという方がいればこういう機材を使えば、高価な機械を使わなくても観測する事が出来ます。それを記録してグラフ用紙におとすとそういうふうな図が出来るというわけですね。

 始めにですね、太陽と月の関係ということですけれども、太陽と月は当然ながらも同じ大きさなんですね。これは現代天文学的に言うとまるきり大きさは違うんだけれども、我々が見る月と太陽は全く同じ大きさ。これは偶然にもそういうことになってるんですれども、全く同じ大きさだと。それからこれは常識ですけれども太陽と月とかはですね、頭上より北側を通ることはありませんので、太陽と月に対面する場合は南向きに対面するわけですね。一番高くても大体78度ぐらいの所を通りますから。そうするとこれは当然のように太陽とか月は東から上って西へ沈む。要するに左から右へ回転をしていくと。これは常識と言えばあまりの常識なんですけれども。そういうことがありますね。それから太陽は、これは分かりませんけれども、月というのは右回りに回転していきますね。例えば満月がのぼった時に、お月さんの中にうさぎの姿が立っているんですけれど、西の空へ沈む頃に見ますとこのうさぎがマネクリをしたような状態になっている。このことによって、月というものは右回りに回転をしていくということが分かります。これは星座も同じでして、今頃の8時頃ですかね、オリオン座が東南の空からのぼりますよね。のぼる時はあの三ツ星が縦に立ってのぼっている。ところが夜半に西の空に沈む時はあの三ツ星が横に寝ているわけです。これもやはり対面して右回りに回転していると、こういうことがあります。ですので太陽も同じように回転している筈なんですね。それからこれも当然と言えば当然ですけれども、太陽が照るのは昼間だけ。一日の半分しか照らない、夜は照らない、当然です。夜照るのは月と星です、光るのは。ところがこの月は満ち欠けをしますので、西空に蘇った三日月は夕方山の端近い所にいて、あっという間に沈んじゃうんですね。ですので三日月の照らす両義というのは非常に狭いんです。これが上限の月になりますと、大体南の空にこう弦が左にありまして、夕方の6時頃光り始めるわけです。それから夜中の12時頃から沈むまで右回りに回転しながら上弦の状態で西の山に沈むんですけれども。これは時間にすると夕方から6時間。角度にすると90度の範囲を支配していると、照らす。これが沈んだ後は全面に星空に、天気が良ければ満点の星空になるわけです。これが段々進んでいって満月になると夕方東の空から出ますよね。そうしますと明け方に近い頃に西の空に。満月は12時間の時間を支配して、180度の空を支配している。ですので満月の時は一等星は別としても星の出る幕は無い。ですので月と星は、時間と空間をそれぞれそういうふうな関係でもって照らしている。これも常識と言えば常識なんですけれども。 (後略)